クリント・イーストウッド監督・主演の「運び屋」は、90歳の老人が薬物密輸の運び屋になるという実話を基にした物語です。
イーストウッドは主人公のアール・ストーンを生き生きと描き出しています。その彼の演技は繊細でリアリティがあり、視聴者はアールの人生の振り幅とその後の選択に深く共感することができます。アールは家族との関係をないがしろにした結果、人生の後半で重大な選択を迫られることとなり、それが映画全体を通じて展開されます。
また、イーストウッド監督の手腕もこの映画の大きな魅力の一つです。彼のストーリーテリングは洗練されており、視覴覚的な映像美と相まって、視聴者を物語に引き込みます。
その一方で、この映画は主にアールの視点から物語が展開されるため、薬物取引の実態やそれに関わる他のキャラクターの視点がやや欠けていると感じる視聴者もいるかもしれません。そのため、一部の視聴者にとっては、複数の視点からの描写を望む場合、やや物足りなさを感じるかもしれません。
全体として、「運び屋」はクリント・イーストウッドの強烈なスクリーンプレゼンスと、彼の巧みな監督技術が見事に結実した作品で、視聴者に強く訴えかけるストーリーが展開されています。
